シッシャットワヤ

先月、読書の秋ということで本屋さんがブックフェアーにあわせて割引をしている期間に購入してあった『アンバヤールヲ』の続編『シッシャットワヤ』(奨学金)

『シッシャットワヤ(奨学金)』
〜アンバヤールヲ2〜
T.Bイランガラトゥナ

そう長い話でもないし少しずつ読んでいたらあっという間に終了。
貧しい家のニマルと裕福な家のスニルの友情の話の続編で、アンバヤールヲの小説の最後はコロンボにいたニマルが1年ぶりに田舎の実家に帰省して久々にお母さんの作ったロティを食べるところで終わっている。
先日のドラマ化されたものではニマルはスニルに
「コロンボの学校に行っても週末には戻ってくるから会えるよ。」と話して終わる。
でも小説ではニマルはコロンボの学校に行ける奨学金を断って村へ戻って来たことになっていて、話はそこから始まる。
『アンバヤールヲ』の途中から徐々にお金持ちだったスニルの家にも陰りが見え始め、最後にはマハヌワラ(キャンディ)にいるのもお金がかかるからとまた村へ戻ってくるもののいろいろな問題で出費がかさみ、以前いたお屋敷も抵当に出して住めなくなってしまっていた。
一方ニマルはアンバヤールヲの途中で悪いことをしたわけではなかったけれど、いろいろあって少年院に入ることになってしまった。
そこでしっかり勉強を教えられ、Oレベル試験の成績も優秀だったためにコロンボの学校に無料で通えるだけの奨学金がもらえることになった。
でも村で大変な思いをしている家族を残して自分だけ学校の寮でいいものを食べて生活するのは嫌だと帰ってくる。
ニマルは1年間のコロンボ生活の間に勉強だけでなく、家具や机を作る大工仕事も教えてもらっていたため村に戻って大工道具を買い、家具を作って両親を少しでも手伝いたいと考える。
ニマルがいない間、ニマルのお姉さんも縫い物屋さんへ働きに出てミシンの使い方を覚えていたため、彼女もミシンがあるなら自宅で仕事をしたいと考える。
そこで出てくるのがニマルの浮いた奨学金。
コロンボにいれば生活のために使うものだったけれど、村の学校に通うのでその奨学金で自分の大工道具とお姉さんのミシンを買ってもらいたいとお願いする。
その願いが叶い、仕事を始めた矢先、スニルのお屋敷を抵当に必要なお金を貸していた金貸し屋さんに問題ごとが起こり、お金を返して欲しい、そうでなければ家を売ってお金に変えると言い出す。
ニマルの家も抵当にされているスニルの敷地の一角に住まわせてもらっている状態だったので、売られてしまえば突然いる場所がいなくなってしまう。
ニマルとスニルを見守っていた大人達が決断したのは残ったニマルの奨学金でスニルのお屋敷のお金を返し、土地を取り戻すこと・・・。
とこんな話で、最後は二人と、それを取り巻く人たちのささやかだけど明るい未来を連想する感じで話は終わる。
どちらかと言うとアンバヤールヲよりはニマルのこと、彼の周りの大人のことがメインでスニルの影が薄い。
それまではスニルがニマルを気遣っていた感じだったけど、今回はニマルの後をスニルがついていく感じ。
大きな事件が起こるわけでもないから次はどうなるの!?と思うようなわくわく感はなかった。
「アンバヤールヲほど読み進めたいとは思わない感じかな〜?」
と友人に話したところ
「だって、アンバヤールヲはドラマ化されたけど、それはドラマ化されてないでしょう。ま、そういうことだよ。」[[pict:atari]]
だって。
まぁ、確かにちょっと失速した感じはある。
でも救われるのはシッシャットワヤの最後にアンバヤールヲの話の中で一番ニマルに冷たく当たっていたスニルのおばあさんがニマルに感謝して泣きながら「ありがとう」とお礼を言うところ。
ここでスニルとニマルの家にあったいろいろなわだかまりがなくなり、ただただ貧しかったニマルの家の未来も少しずつ良くなりそう。
そして問題が解決したスニルの家もこれからニマルと共にがんばっていくのでしょう。
そんな余韻を残して話は終わった。
前にも書いたようにアンバヤールヲは50年も前に書かれた話。
今もし本当にニマルとスニルがいるとすればすでにずいぶんな年になっていることになる。
まあ、このシッシャットワヤは1989年初版で今から23年前に書かれてるんだけど。
どっちにしても今もどこかにいるかもしれないニマルとスニルの友情が続いていたらいいな〜。

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