S.マヒンダ僧

試験勉強が多いので、それに伴いちょっとスリランカの文学話。
スリランカの文学、コロンボ時代において重要になるのがS.マヒンダ ヒミ(S.マヒンダ僧)
彼は実はスリランカで生まれた人ではなく、チベットの人。
彼が生きていた時代、まだ独立していないスリランカで人々はイギリスの支配に苦しんでいた。
キャンディ時代までは物々交換でやっていけた生活にお金というものが必要となり、政治、経済・・・どんどん入ってくる西洋のしきたり、何かの手続きに行けば働いている人は英語交じりのシンハラ語。
それまでのスリランカの文化や習慣も不安定になってきた。
イギリスの理由で動き出した社会に人々は不自由さを感じていたころ、という分野でみんなを励ましたのがS.マヒンダヒミだった。
詩というのは文学だけど、そこに込められるのはさまざまなこと。
マヒンダ僧はその詩を使って様々な分野に関する詩を作った。
イギリスびいきになり、そこからもらえる外貨を目当てにしている国の偉い人たち。
そんな人たちに嫌気がさし、新たなリーダーの登場を待ち焦がれるマヒンダヒミはそれを詩に込め、時には昔の王様の名前を使ったりしてわかりやすいシンハラ語で独立しようとみんなを励ます詩を作った。
人を愛することについての愛の詩を作ることをためらっていた詩人たちの間で、僧でありながら男性が女性を愛している様子を詩にもした。
動物や自然を愛する気持ちも強かったため、自然の様子も美しい詩で表現した。
そして、これから未来を担っていく大切な子供たちにはその想像力を膨らませ、心の成長が得られるようにと花、ちょうちょ、風、星、空、そういった言葉を入れて詩を作った。
S.マヒンダヒミの詩にはスリランカを愛する気持ちがあふれていて、今でもその詩はいろいろなところで見かけることがある。
彼は独立を見届けた数年後に亡くなってしまったけど、彼の詩は本当にさまざまな愛でいっぱい。
学校の教科書にも詩は使われているし、インターネットのYoutubeでも聞くことができる。
ブログを読むみなさんにはKeikoのシンハラ語おバカっぷりで飽きられない程度に、簡単なのを2つほど紹介。
『ラートゥリヤ(夜)』


これは夜の様子を子供に伝えている詩。
意味は・・・こんな感じかな[[pict:down]][[pict:down]]
ジャスミンの花が咲いている
青い芝生の広場
みたいな空だよ、ほら見てごらん
夜ってきれいだね。
フクロウが飛び
他の鳥たちは眠りにつく
菩提樹の枝にぶら下がって
大コウモリが鳴いている。
私の大好きなお姉さんの
真珠の首飾りみたい
この落ちる水のしずく
これであんな(お姉さんのみたいな)首飾りを作ろう。
お月さまが私たちのほうを
じーっと見て笑う笑顔
涼しい風を感じに
戸口に立ったらいい時間。
空には星のつるがいっぱいに伸び
地面には白い花がいっぱい咲いている
結婚式が2つあるみたい
どちらもとってもきれい

『アナーガタ ダーヤーダヤ(未来の大切なこと)』

歌詞がシンハラ語で知りたい方はこちら[[pict:down]]
シンハラ語の歌詞がわかる『アナーガタ ダーヤーダヤ』
これは未来を担う子供たちの成長を願う詩。
こちらもこんな感じの意味[[pict:down]][[pict:down]]
どうして おじいさん、何をしているの
 どうして そうやって 地面を掘っているの
お前か坊主、わからないか
 マンゴーの種を植えようと土を掘っているんだよ(もう一度くり返し)
悲しくないの?マンゴーの実を
 一つでも食べられるのかな?
坊主、私はこのマンゴーが食べられるとは思っていないよ
 しなくてはいけないことをしようとしているんだ。
この世界、自分の得られないもののために
 しなくちゃいけないなんて、よくわからないや、ぼく。
そうじゃないぞ、坊主。そんな考えを
 持ったらそのままお前もそうなっていくんだ。
昔にいた人たちが植えたマンゴーの木から
 みんな誰もが実りをもらってるんだ。
私たちも未来に生きる者たちのために
 実りを与える準備をするのが役目なんだよ。
自分たちのしなくてはならないことがわかったよ。
 命が長く続くように、おじいさん僕も生きていくよ。

これだけでもS.マヒンダヒミが愛したスリランカの人々への気持ちがあふれているようで心が温かくなる。
でも、これはスリランカに限ったことではなく日本だって、どこの国だって、より良い子供の心の成長を願う気持ちは同じ。
こういう詩はいつか自分の子供が生まれたときには覚えておいて忘れずにぜひ聞かせたいと思う。
スリランカの文学は日本ではあまり知られていないけれど、いっぱい、いっぱい素晴らしいものがあるんですよ。
これからも少しずつ紹介していきますね。

*夜の詩の最後の歌が切れてしまっていたので訂正しました。
ごめんなさい・・・。2013年5月6日

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