「パウ」の使い方

どんな言語でも勉強していくとわかりにくい言葉って出てくる。
意味が単純にわかりにくいのもあれば、意味はわかりやすいんだけど使う場面が広過ぎてわかり辛いものもある。
かんたんな言葉でも、使うタイミングが広範囲に渡っていて、文化や風習と密接に関わっていると感じる言葉の一つがパウ(かわいそう)という言葉。
今日はまさにこれこそ「パウ」だ!と思う場面に出くわした。
*シンハラ語のパウの雰囲気を感じたい方はここから親身になって読んでくださいね!
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友人へ手紙を送ろうと思って郵便局へ行ったところ、そこへダダコラ(違反証書)を切られたおじさんがやってきた。
スリランカでは交通違反なんかで違反証書を切られた場合、日本と同じように罰金が発生するんだけど、その支払いは郵便局でも済ませることができる。
違反証書を持ってきたこのおじさん、カウンターに紙を出したところ、
郵便局員:「このダダコラ、何の違反か書かれてないからいくら支払ったらいいかわからないですよ。」
おじさん:「ええ〜!」
郵便局員:「これ、何の違反かわからないだけじゃなくて、ダダコラ切った人のサインもないし、日にちも書かれてない。どこで切られたんですか?」
おじさん:「すぐそこで・・・じゃ、どうすればいいのかな?」
郵便局員:「すぐにダダコラ渡されたとこに戻って足りないところ記入してきてもらったらいいですけど・・・ムリですか?」
おじさん:「できないよ、これ渡されたの昨日だから・・・もう警察いないし。」
郵便局員:「あ〜・・・じゃあ無理ですね・・・。
それならココから一番近い警察が○○にあるからそこへ行って必要な部分記入してもらってまた来てください。」
おじさんはそのまますぐに歩いて5分ほど離れた警察へ行かなくてはならなくなったんだけど、郵便局の職員さんもあきれ顔。
「ダダコラ渡すならちゃんと記入すればいいのに、中途半端に書いて渡すなんて・・・」[[pict:symbol6]]
そういう時、ふと
「そんなダダコラ、無視して捨てちゃえばいいのに!」
と思いますよね。
たぶんこれを読んでそう思った人もいるかもしれませんが・・・
スリランカの警察はダダコラと引き換えに免許証を没収しちゃうんです!
そうなるとさっきのおじさんは免許証を返してもらわなくてはいけないので、これから警察へ行って事情を説明して書類の記入漏れの部分を記入してもらってからお金を支払わなくてはいけない。
違反というのは誰だってやっぱり早く忘れたい出来事であれこれしたくはないけど、お金を払わなければ絶対に免許証は返してもらえない。
問題はダダコラを途中書きで渡した警察にあってもしわ寄せが来ているのは違反した人。
警察で訴えても
「そんなら違反しなければよかったでしょう。そもそもダダコラを受け取った時にどうしてしっかり確認しなかったの?」
と言われるのがオチ。
この何とも言えないやりきれなさ。
わかります??

私なら何に怒りを向けたらいいのかよくわからなくなって
ホント、すべてが嫌になっちゃう。
はい!
今そのやりきれなさと苛立たしさでおじさんがかわいそうだと思いましたか?
それがまさに「パウ」って言葉で表現できるんですよ。
あ、これってパウを説明する文章だったの?ってそうじゃないです。
ホントの話ですけど、ちょうどパウの表現ぴったりな出来事だったので。
かわいそうはかわいそうだけど、ただのかわいそうではなくてこの気分の悪さ。
そういう居心地の悪さも一緒にまとまった時にパウの言葉に気持ちが重なります。
どこかで・・・ってこんな気分の悪さには合わないほうがいいですが、どこかでやりきれないことになってる人に出会ったら「パウね(かわいそうだね)」を使ってみてください[[pict:light]]

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