牛が怒って・・・

Kさんが帰る前、田舎の家のちょうど目の前に他の家の牛が綱を契ってケンカをしに来てしまいました。
前日には田舎の家の牛同士がけんかをして深夜に走ったアンマーとターッタ。
普段呑気にしてるように見えるのに気が向くとかなり凶暴なんですよね。
人間にはわからないけど姿が見えない遠くの牛とも何か会話をしていく間に腹が立ってしまうのかもしれませんね。
そんな牛騒動があったところなのに、今度は違う家の牛が一直線に向かったのは田舎の家のサブリーダー格の牛、ラトゥのところ。
牛ってこうなるとなかなか止められないのがすごい。
本人もケンカをするつもりでいるし、無理に止めに入るとこちらが危険!
とはいえケンカをするとどうしても見境なくなって怪我をしたり、意識を失ってしまったりするのでできる限りケンカは止めさせないといけない。
結局引きずっていた綱を何とか引っ張ってラトゥとの対決は避けられたものの、引き取りに来た飼い主さんは背の低い痩せたおじさん。
「あんなおじさんじゃすぐに引きずられて取り逃がすよ!」

と言っていたら案の定、おじさんを引っ張って倒し、その隙にまたラトゥのところへ!
何とか2度目もラトゥとの接触をさせずに家の前の小さなマンゴーの木に綱を縛ったものの牛はかなりご立腹の様子。
八つ当たり的に近くにあったアティケセル(アティという種類のバナナの木)を1本倒してしまったから大変!
遠くからこの一部始終が見える位置にいたこの家のリーダー格のブブーが怒って騒ぎだしたりしないかアンマーも気が気じゃなくて、はらはらしていたのでした。
ここでブブーまで怒りだしたらもう本当に手がつけられない[[pict:ase2]][[pict:ase2]]
でも何とかブブーもそこまで腹を立てずにいてくれそうだったのでこのままここに置いてケンカをする気がなくなるのを待ってから家へ連れて帰ろうと飼い主さんもそのまま帰宅。
いつも不機嫌になると家族であっても突進しそうになるブブーだけど、自分の縄張り内?で何かあったり、知らない牛に家族がかまったりするのは気に入らないらしく、家族もあまりこの他の家の牛に話しかけちゃいけないと放置することにしたのでした。
とここまでが昨日の話。

今朝起きて、外を見てみると・・・
昨日の牛がクールダウンして道路に立っているのはいいんですけどね。

ケンカができなかったあまり、怒りが収まらずアンマーがせっかく植えて育ててたアティケセルを更に2〜3本ほど残して全部倒してしまってました。
あ〜あ・・・。

もしかしたらマンゴーの木も耐えられないかも・・・とは言っていたんだけど、マンゴーの木は何とか持ちこたえてくれた模様。
でもそれよりももっと柔らかいバナナの木ではひとたまりもなく・・・。
せっかく大きくなってたのにね。

でもこの辺り「倒れちゃったねw」で何も言わないスリランカの人たち。
牛の持ち主からも「ごめんね」という言葉もない。
そこでみんなが思うのは
「牛が相手では仕方がない。」
牛には人間の言葉はわからないし、力が強くて止められないから。
日本だったら「責任取って!!」とか言いそうだけどこういうところがスリランカでは人だけではなく動物への理解力もあると思うんですよね。
植物は勿体ないかもしれないけどまた育つから。
ちなみにこのバナナの木を倒してしまった牛の名前は「ピナー」。
「幸運・徳」というような意味なんだけど、名前に似合わず怒りっぽいな〜。
もっと言えばスリランカのお話には人の良い土鍋売りのピナーという昔話もある。
その土鍋売りのピナーはある日土鍋を売りに行く途中で怒った牛に土鍋を全部割られてしまう。
それを見て自分も怒っては負けだと思ったピナーはこのことを歌にして歌いながら大笑いしたところそれを見た森の動物たちも大笑いし、牛は一人で恥ずかしい思いをした。
というお話。
この場合、人間の名前がピナー。
だからそう考えるとこの牛の名前がピナーっていうのもちぐはぐでおもしろいんだけど、土鍋売りのピナーはとても人が優しいのにこの牛はホント気が立ってる。
この日のお昼過ぎには無事連れて行かれた様子のピナー。
その証拠に道路には点々と歩いて行った足跡と遠くには落とし物があったのでした。

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