ガムマドゥワが一晩中続くわけ

今回のガムマドゥワ、スリランカフェスティバルなんかでも見たことがある踊りや、そういう踊りがあると聞いていたデビルダンスだったけど、迫力はまったく違う。
観光客に見せるためのダンスは1つ5分〜10分で終わるように短くされているけど、本当のダンスは1時間〜1時間半ほど続く。
何しろ今回のガムマドゥワも21時間くらい続くわけだから1つのダンスがそのくらい長くなっても問題はないってことか。
というか本来はそういうモンだったのね。
トウィルやコーラムなどスリランカのダンスが一晩中続くのには理由がある。
それは昔のスリランカでは魔よけに限らず田んぼの豊穣を願ったり、豊穣を感謝したり農耕に関係したダンスも全て一晩中続くことになる。
例えば田んぼの稲刈りが一区切りして村のみんなの時間ができたときに豊穣を感謝してダンスをするとする。
すると夜、仕事が終わってから集まってお祭りは始まることになるけど、昔は夜お祭りをして暗い中家に帰るのは動物(ゾウなど)に襲われる可能性があるから帰る事ができなくなる。
だからこそ、その危険を回避するために夜通しみんなで踊って楽しんで、明るくなって安全になってから家に帰る。
それが一晩中ダンスが続く理由
なんだという。
だから一晩中踊り明かすのではなく、みんなで朝まで楽しもう。というのがこういった長時間行われるダンスの本当の理由。だからこそダンスはひっきりなしに行われるわけではなく、1つが終わったら少し時間を置いてまた次のダンスが始まる。
のんびりのんびりみんなで楽しむのが大切らしい。
そして、本当のデビルダンスにはもう1つおもしろいことがある。
それは一晩中続くダンスは1つの物語になっているということ。
だから1つだけ見て満足ではなく、その1つの長い話を見ながら色々なことを理解し、考えていくということ。
内容は道徳的なものも含まれていることもあるし、昔の人たちはこういったところで見た話はよいことなのか、自分はどうしなくてはいけないのかそういうことをダンスを見て笑いながら考えていく。
このあたりのことに関してはシンハラ語学科のD先生から聞いたことだったけど、そういうことを知った上で見るデビルダンスはまた一味違ってくる。
今は夜でも帰ることができるし眠くなった子どもを連れて家へ帰る家族もいたけどダンスを見ながらそういった昔のスリランカの村のありよう、情景を思い浮かべてみるとそれもまた理に適ったことで、そう思えばダンスが全て終わるまで見てみていたくなる。
ダンスだけではなく、そこにあるスリランカの文化にも魅力を感じる素敵なガムマドゥワだった。

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