コロンボフォート・ペター

コロンボに用事があって出かけた帰り、コロンボフォートでも探したいものがあった。
一緒にいたSちゃんにお願いして買えるのであればお店を探したいと話したところ、そういうものであれば・・・と手伝ってくれたもののそれがまたとても中途半端。
探しているようなものはどのようなものかと聞かれて、本屋さんの文房具売り場にあるようなこんな、こんなもの・・・。と本屋さんに行って見せたところ・・・
「こういうのってここで売ってますか?」
と店員さんに聞いてくれた。
ここにはないと店員さんに言われた後、
「こういうのってどこで売ってるか知ってますか?」
「○○の角をまがって△△まで行って、そこを左に入ったところにありますよ。」

ここまで聞いたら普通はすぐに「ありがとう」とそこに行こうとすると思う。
でもSちゃんは
「Keiko、○○ってどこにあるか知ってる?」
と私に聞いてきた。私も知らない・・・。というか店員さんにわかるように聞いてくれればよかったのに。。。
そう思った私を横目に
「わからないから今日は帰ろう。」
そう言い出した。
どうして!?今道順を聞いたじゃない!
びっくりして聞いても
「いいから、今日は帰ろう。また○○がどこにあるかよく知ってる人に聞いて日を改めて来よう。」
せっかくお店の場所もわかりかけたのに帰っちゃうってどうして?と残念そうな私にSちゃんは後でその理由を話してくれた。
旅行者のガイドブックにもコロンボペター、フォートの辺りは十分注意が必要と書かれているけど、それは外国人に対してではなくてスリランカの人たちにも同じことなんだそう。
今日のように道に不慣れな人がお店の場所を聞いた場合、その人が次に取る行動は道を教えてくれた店員さんにも周りにいた人たちにも容易に推測できる。
「おそらくこの人は今から教えられた道を探しながらお店に行く。」って。
そうするともし、万が一周りに悪いことを考える人がいたとすれば、お店に行く途中で引ったくりやスリに会う可能性が高くなるということ。
周りにいた人が実行犯でなくても、その人が実行役に電話して
「今からこういう服装の道に不慣れな人が行くからバッグを盗め。」
そう指示を出すこともできる。
被害にあった本人には偶然でも、本当は偶然ではない事件となる。
そういう人が多い場所がフォート、ペター。そういう素性のわからない人が集まっている場所だから、村のように見かけない人がいてもうわさが立ったり目立ったりすることはないし、人ごみに溶け込んでしまえる場所。
だからこそ道を聞いてもその道を行くのだって危ない。
それがスリランカの人たちのこの場所に対する暗黙の了解事項なんだって。
そしてさらにSちゃんに言われたのはその中でも一番危険なのがトゥクトゥクのおじさんたち。
スリランカのトゥクトゥクのおじさんたちというのは何にでも興味を持って近づいて来て、いい意味でも悪い意味でも情報を持ってもいるし、悪いことに走るのも紙一重。
いいこと、悪いことの狭間の一番近くにいるのが彼らなんだそう。
彼らに悪気はなくてもトラブルの原因となる情報を広めてしまうことができる中心にいるのが彼ら。
だからこそ、スリランカではフォートでなくてもトゥクトゥクに乗るときにはよく知った人をわざわざ家へ呼んだりする。
「Keikoには外国人としてフォート・ペターがどういう町に見えるかはわからないけど、例えば道で携帯電話のバッテリーを『Rs50! Rs100!』って言って売ってるのを見たことない?
それを見てKeikoはただ「安い!」と思うかもしれないけど、理解しなくてはいけないのはそこではなくてもう少し先。
普通に携帯のバッテリーがRs50、Rs100で本当に売れるのか、買えるのかを考えなくちゃいけない。実際そんな金額で買えるわけはないでしょう。いくらスリランカだって言ったって。
そうするとあれは結局タダ同然で集めたものってことになる。要するに基本的に壊れた携帯から取ったものや盗まれたものということ。
あそこに群がってバッテリーを買っていくスリランカの人は必然的に出所が怪しいものだとわかった上で見に来てる。
売っている人も言わなくてもわかるからこそ、長時間同じ場所で売ったりしないで大通りに来てさっと売ってさっとどこかへ消えていく。
そういう意味で売る人も買う人もそのリスクと意味をちゃんとわかった上で集まってる。
だからこそ、そういう場所だとわかった上でそれでもここで買い物をするのか、探し物をするのか考えなくちゃいけない場所なんだよ。」

そういう長い話を聞いて、今後も長くスリランカと楽しく付き合っていくなら、フォート、ペターで無理をして変な問題に巻き込まれるよりは、ちょっと思っているものと違っていてもできるだけ家の近くのよく知っているお店で似たようなものを買って代用するようにしよう。そう思った。
みなさんも旅行などでフォート、ペターへ行く場合には
十分ご注意ください。

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