『セイロン島誌』

日本にあるスリランカについての本とても少ない。
写真集だったり観光用のエッセイ本は徐々に増えてきているけど、スリランカの歴史や文学についての本は本当に少ない。
そんな中で昔のスリランカの様子がよくわかると日本では有名な本(だと思う)の一つがこの『セイロン島誌』

私も1冊スリランカに持ってきています。
この本はイギリス人のロバートノックスがスリランカで捕虜になり、スリランカから脱出した後スリランカの様子、自分たちのことを書きとめたもの。
もともとは英語で書かれていたものだけどもちろんシンハラ語にも翻訳して出版されている。
それがこれ。『エダー ヘラ ディワ』

こっちがスリランカ版セイロン島誌
『エダー ヘラ ディワ』

こういう昔のスリランカの様子が書かれた本で日本語訳されているのはこの『セイロン島誌』だけだけど、実はこの他にも当時のスリランカを題材にして他の国の人に書かれた本もスリランカにはあったりする。
去年のサティフィケートコースの最後のほうでA先生がこういった本についても教えてくれたけど、この『セイロン島誌』については注意が必要と教えられた。
というのもこの本の著者のロバートノックスはもともとスリランカには捕虜としての滞在をしていた。
だからこそ捕虜としての目線で書かれており、けしてスリランカが好きという目線ではない。
そのため書き方も湾曲した見方で書かれていたり、本当の意味や理由を聞かずに自分の考えと解釈で書かれている部分もあり、スリランカの習慣や風習からすると間違ったことを書いている部分もあるらしい。
確かに同じ話を書くとしても題材になるものが好きで書くのか、嫌いで書くのかで解釈や見方は当然変わってくる。
今回の大学院でも毎回教えられるのがこういった『セイロン島誌』に限らず、どんな本でも読み解くときにはその著者のいた環境、状況、どのような理由で書かれたのかを理解すること。
確かに文学を学ぶにはそれはとても重要なこと
日本では本が少ないためそれがわかっていてもスリランカのことが書かれた本があれば無意識のうちに信じてしまいやすいけど、それも注意が必要ってことだよね。
この他のスリランカを題材にして書かれた昔のスリランカの様子がわかる本もいつか読んでみたい。

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