道路と教育と

日々スリランカでいろいろなものを見て、聞いて、もちろんそれでたくさん、たくさんいろんなことを考える。
スリランカでこうして楽しく生活させてもらっちゃってるけど、いつかはその恩返しがしたい。
そう思ってもいるけど、その恩返しをするためにはもちろんいろんなことをたくさん見て、聞いて、何をするのがいいのか考えなくちゃいけない。
って、今から何か始めるって話じゃないですよ。
今後の知識として、こんなこともあるんだな〜って話です。
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山奥にある田舎の家。
その村は貧しいかと言われればたぶん貧しい。

村には鉛筆でさえもなかなか買えないでいる子供もいるのも確か。
一番近い学校は生徒数も少なくて1学年に5人ほどしかいない。
小さな山を一つ越えれば数百人が通うこの地区でも有名な良い学校もあるけど、山の手前はばそんな状況。
もちろんスリランカ国内そういった子供はまだまだ沢山いるんで、ここだけが特別ってことじゃないですけどね。
同じ村の中でも昔、比較的がんばって苦労しながらも何とか家を守ってきた家もあれば、ただただその時代を生き、今も生活は変わらない家、逆に貧しくなってしまった家。
いろんな家がある。
そんなこの村、今は車も走れるような道になってるけど、10年くらい前まではこれがコンクリートの舗装もされていない土の道路だったと聞く。
今は田舎の家の前はきれいに舗装されたこの道。

でも昔はこの道の両脇には道に沿って木が生え、木陰のあるとてもきれいな並木道だったそう。
これを聞いてその時代の景色を見てみたかったな〜!と思うのは私も一緒で、
さぞのどかだっただろうな〜と思いをはせたり。
そんな村の中を走る1本道。
でもただのこの1本の道が人々にとっては外の世界とをつなぐ大事な道。
この道沿いに住む人たちは同じ道沿いに住んでいても場所によって人がすごく変わるらしい。
私にはまったくわからないけど、
「あの辺りから数百メートル先のこの辺りまでに住んでいる人たちはちょっとやんちゃな困った人たちが多い。」
という話を聞いた。
その理由は子供のころ、学校へ行かない子供が多かったから。
でもスリランカって教育は無料でしょう??
どうして学校に行かなかったの?
学校に行かなかったその人たちの自己責任じゃ・・・??
そう思ってしまうのは日本に生まれた私たちの感覚。
学校に行かなかった理由は道にあったという。
昔、この道はコンクリートで固められたものではなく、土の道だった。
学校に行くには小さな山を越える山道を通って山向こうの学校へ数十分歩いていかなくてはいけない。
でも、道路は土。
その地区には学校のあるまちへ抜ける山道が近くに無く、一番近い山道まで回り道をしなくてはいけない。
雨が降れば制服のズボンやスカートの裾に泥が飛んで、歩きにくい。
でもでこぼこし過ぎた土の道路ではバスも通って来られらないから歩いていくしかない。
そんな中、学校へ行くまでの道の事を考えるとなかなか通うこともできない。
そもそも制服を泥で汚したら洗うのも大変だし、
雨が毎日続けば次の日着ていく制服がなくなってしまう。
国から支給される制服も十分ではないから、最低一年間使い続ける制服を汚すこともできない。
数百メートル離れた山道が近くにある家に生まれれば学校へ行くまでの道ももっと近かったのに・・・
そんなどうしようもない偶然に生を受けた家の場所が悪かったという理由で学校へ行く足が遠のき、その地区は毎日欠かさず学校に通う子供が少なくなってしまった。
だからこそその地区に今いる大人も子供も、後先考えずに行動し、迷惑をかけることが多いのだという。
それが数年前からコンクリートで道路が舗装された。
そして生活の変化が起こった。
道はバスも走ってくるようになり、雨が降っても服を汚すことなく学校へ行けるようになった。
そして子供たちは毎日学校へ通うようになった。
今20代くらいまでの若者までは学校に通うことの少なかったやんちゃな人たちが多いけれど、今いる村の子供たちが大きくなったころ、それはまだ20年以上後の話だけどその地区も変わってくるだろう。
回りの地区の人たちは次の世代を担う子供たちの成長に密かに期待をする。
時間はかかるけどあの地区のやんちゃなことをする人たちも歳を取り、学校で勉強をした子供たちがしっかりと意見を言えるようになればあの地区もいつか今よりももっと良くなるはず。

急な教育、変化はできなくてもそうしてささやかにかける子供たちへの期待と願い。
そして、もっと言えば今はやんちゃな人が多い理由からトラブルになりやすいだろうことを考えて、その地区だけ土地も買いたい人が少なくなっている中、そこの人たちの心が良くなったのち、その地区の土地の価値ももっと上がって住みたい人も増えてくる。
ただの一本道だけど、その道によって少しのことが変わる。
「人がそうなるには、そうなるだけの訳がある。
ただ嫌だからと怠けて学校に行かないのではなく、外から見たら今はもうわからない「行けなかった理由」があるからこそ彼らの今の人生がある。
それを良く知り、今後のことを考えないといけないってことだよ。
支援をするのはいい。
でも支援をするならその家の状況だけではなく、どうしてそうなっているのか、その理由も知った上で行動をするのが一番いいんじゃないかな?
ただやみくもに支援をするんじゃなくて。」

そう教えてくれた友人に感謝。
私ももっともっといろんなことを見て、学ぼう。
いつかのために。

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